仕事を辞めて、世界を一周することにした

30歳女。思いつきで5年半勤めた会社を退職して海外を旅する話。

絵画の暗殺【ミロ美術館】

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このレシートのこのマーク。

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バルセロナにあるカイシャ銀行のマークなんだけど

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これ、芸術家ジョアン・ミロのデザイン。ミロって知ってます?名前は知ってたけど、どんな絵描く人か知ってます?代表作もパッと出てこない。わたしは知りませんでした。
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というわけで来ました『ミロ美術館』。
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強めのカラーとタッチが特徴なんですかね。入り口ではまずジブリに出てきそうなウォーリーみたいなのが迎えてくれた。

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そのウォーリーのおしり。

ここの入場料は13€、日にち指定のみ、ネット予約して行きました。日本語オーディオガイドは現地で4€。クレジットカード使えてヘッドホンもついてて聞きやすかった。あと無料のロッカーあって身軽に見て回れる。

さて、ミロさん拝見!

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う〜ん、冒頭からすごい存在感。《自画像》。

1937〜1960年と20年以上かけて制作されてる。下にうっすら見える自画像を打ち消すかのような大胆なストロークを以って単純化された作品。これがこの歳月の間にたどり着いたミロの画風、「絵画の暗殺」なのかな。
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と思えばこんなメルヘンな風景画も。あ、絵がお上手な方なんですね。
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で、横を向けばこれ。夜中に飛ぶ女性と鳥だったかな。女性いたっけな?いや、どちらにせよめっちゃ振り回してくる。ミロ、めっちゃ振り回してくるな。

もうよくわかんないから"タイトル当て方式"でいこう。
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うわっ!これもまたすごい。単純化にも程がある。これはなにを描いた作品なの?夜の風景画とか?
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タイトルないんかい。

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これはなに?バックは空?えっとー、風見鶏とか?吹き流し?
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タイトルないんかい。

次。
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あ、なんか、これは意味がありそうだ!地球みたいな、宇宙的な。
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足しました。常に想像の斜め上の右をいく男、ミロ。

う〜ん、正の字ならぬタリーのような数え方ならなんとか…ならないな。

次。

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真っ白に塗られた大きなキャンバスに黒一点。これもどうせ《painting》とかなんとかいうんでしょう?!
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彼の目には一体なにが見えていたというのか。

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これはどう訳したらいいのかな。世捨て人の小室のための落書き3パターン?
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壁に亀裂が入ったようです。
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《死刑囚の希望》3部作。
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あ、これ似てる。きっと、さっきのとなにか繋がってるんだ。

どうやらさっきのタイトルは《隠修士の居室のための白地絵画》だそうで、この《死刑囚の希望》には構想を練るのに2年、描き始めから完成までに1ヶ月かかっているのだそう。

ミロがわからなさすぎるので、この作品の背景を少し。

フランコ政権の最後の年に、ミロに衝撃を与えた裁判所の判決があった。ミロは最終的に処刑されてしまった若い無政府主義者のサルバドール・プッチ・アンティックという少年が助かるように願っており、この三部作の絵を制作したのだそう。しかし偶然にも、完成したその日が少年の死刑執行日だった。

「奇妙だが、意味ありげなことだ。私は気の毒な少年、サルバトール・プッチ・アンティックの死刑が執行されたその日に絵を描き終えた。彼が殺された日に、私はそれを知らずに作品を完成させたのだ。白い背景にある黒い線は、慈悲のない力のあるものによって切り離されてしまう。」 — ジョアン・ミロ

流れる黒のラインと散りばめられたペインティング、そしてパッチの色の変化。途切れた線は予期せぬ中断のために完成できないことを意味している。これは処刑により中断されてしまった少年の人生と重なる。

この背景を知って初めてこの作品を少し読めるような気がした。ミロさん、落書きじゃなかったのね。

表現の単純化を突き詰めた彼にとっては空白もすべて必要不可欠だったよう。ミロさん、深すぎて溺れそうです。

次、いきます。
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これーはー、おっきいんです。
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そして布なんです。触っちゃダメだから触りたくなる。どのくらい大きいかっていうと
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このくらい大きいです。

ミロは1893-1983年と、ピカソとほぼ同時期に活躍していた近代アーティストで、これは美術館のこのスペースに合わせて制作したのだそう。ピカソと同じように彼も美術館の建設に立ち会っていたのね。

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見晴らしの良いスペースがあった。この美術館、山の中腹で結構高いところにあるんです。
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両側に4脚ずつ、デッキチェアがあって
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ミロの作品と共に背景を楽しむって感じなんですかねぇ。

彼は絵画だけでなく、彫刻や陶芸にも活動の幅を広げていたそう。そして、作品の材料も常に探し続けていたとか。

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屋上にあったこの作品。なんだかわからないけど可愛い。これは女性だそう。
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顔の部分は麦わら帽子、胴の三角の部分は昔の便器を再利用してる。お尻はボールだね。
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あとは
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なにかはわからないけど
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ミロらしい激しい色使いで

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可愛いものたちが
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並んでいました。

わたしが一番目を奪われた作品はこれ。

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《水銀の泉》。水とはまた違ったプルプルとした動きの水銀の波紋が美しい。退館前にもう一度と動画を撮りに行ったらなぜか止まってた。

あとで知ったんだけど、これはミロではなくアレクサンダー・カルダーという芸術家の作品だそう。ミロさんいいの作るじゃんか!って思ってた。この美術館は他の芸術家の作品も展示されてます。

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館内には磁石でミロ風な作品が作れちゃうコーナーもあって楽しそうだった。

そんでこれー。

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グッズ販売コーナー。Tシャツのほかにもいろんなものがミロの絵のデザインだったんだけど、これがまた可愛い!!
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めちゃオシャレ!でも可愛いのは全部子供用。甥っ子に着せたいけどおばちゃんお金ないよー!残念ですー!!
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わかったことは、ミロの作品はグッズにするのがめちゃくちゃ可愛いということ。ごちそうさま。